死ぬのが怖い時におすすめの映画10選

      
死ぬのが怖い時におすすめの映画10選

タナトフォビア(死恐怖症)に向き合うためには、視野を広げることが大切だと思います。

例えば、自分の価値観とは違う「死」の受け取り方を「自分はそうは思えない」とすぐさま切り捨ててしまうと、自分の頭の中にある、自分の価値観だけでタナトフォビアに向き合わなくてはいけなくなります。これでは敵が強いのに武器が足りていない状態になってしまいます。死ぬのが怖い、というのはとても内的な問題です。かといって、自分の持っている価値観だけで解決できるほど簡単なテーマではありません。

タナトフォビア×視野拡大についての記事です

タナトフォビア(死恐怖症)克服の為にまず一番にすべきこと

この上記の記事では、自分のタナトフォビアに効く糧(かて)ワードを、映画や小説などから探すことをおすすめしました。映画でなくてもいいのですが、他人の人生を描いたものから自分では思いもつかない生死についての考え方を受け取れることがあるよ、といった内容です。そこで今回は、わたしが今まで死ぬのが怖いと思った時、心の栄養になったと思う映画を10作品、紹介してみようと思います。

あくまでもわたしの心にストン、と収まったラインナップなので、誰にでも沁みる…ということはないでしょう。しかし、好きな映画をただ並べたわけでなく、ちょっとタナトフォビアにピリピリときた作品だけを紹介します。(作品としてあまり好きじゃないものもある・・!)

もしこの記事を読んだ後に観てみようと思ってくれた人のためにも、極力ネタバレしないように書いていきますからね!

死ぬのが怖い時におすすめの映画10選

監督 黒澤 明
脚本 黒澤 明
上映時間 119分

黒澤明監督の初のカラー作品で、彼が実際に見た夢から着想を得て作られた短編映画集です。どのお話も、間合いと色彩が素晴らしいので観たことのない人は是非一見を。わたしが特に気になったのが、この短編の最後の作品「水車のある村」です。ほぼ全編に寺尾聡が出演しているのですが、この物語で彼は、とてものどかな人気(ひとけ)のない村に迷い込みます。そこで出会った老人との会話だけで話がほとんど進んでいきます。老人の言葉が、タナトフォビアのわたしにはとても斬新でした。
「よく生きてああ楽しかったと言って死んでいくのは、めでたい」という感じの言葉なのですが、終盤の映像と音楽を合わさると、これが物凄い説得力なんです。「確かに、死んでもいいのかもな」と思わせる、明るく強烈なパワーを感じます。

 

トゥルーマンショー

監督 ピーター・ウィアー
脚本 アンドリュー・ニコル
上映時間 103分

ジム・キャリー主演のアメリカ映画です。当時かなりヒットしたようで、名作の扱いなので知ってる人も多いかも。
ジム・キャリー演じるトゥルーマンという平凡な男の人生が、生まれた瞬間から世界に生中継されていて、それを知らないのは全世界で本人だけ・・という、サトラレ感のある設定です。ちなみにアメリカでは、この映画を観て「もしかして自分も…」と思い込んでしまう「トゥルーマン症候群」になる人が続々とあらわれたとか。
彼が生まれてから一度も出たことのない島というのが、すでに壮大な番組のセットなのです。真実に気づいてからの彼が、途端に生命力を帯びてくるところ、究極の選択を迫られるラスト。「生きること」は「決めること」であると考えさせられます。「死」よりは「生」にスポットが当たっていて、エンタメ感も強いので、落ち込んでいるときも無理なく観られると思います。ラストが最高です。とてもおすすめ。

 

ミッドナイトインパリ

監督 ウディ・アレン
脚本 ウディ・アレン
上映時間 94分

スペイン製作のアメリカ映画です。「タイムスリップ×ラブコメディ」という感じで、自分の生まれた時代に満足できない主人公達の人物描写がとても丁寧です。そっちの方が恋愛の行方より、よっぽど気になる感じ。生まれた時代と環境を受け入れることと、いつか死ぬことを受け入れることは、似ているのかもしれないとわたしは思いました。どうにもならないことって日頃 便利に生きてると、あまりぶち当たることはありません。大体のことは工夫次第で解決できます。しかし、どうにもならないことって当たり前に存在するんですよね。与えられた箱と時間の中で、めいっぱいのことをする。切ないことかもしれませんが、それが「当たり前」でそれが人生で、それは美しいんだなと思えます。映像のきらびやかさと切なさが対比になっているので、余計に強く感じます。みぞおちをキュッとさせたい人におすすめ。

 

血と骨

監督 崔 洋一(チェ・ヤンイル)
脚本 崔 洋一(チェ・ヤンイル)

鄭 義信(チョン・ウィシン)

上映時間 114分

先の3作品とは違った意味でおすすめしたい映画です。舞台は1920年代の大阪、ビートたけしが在日朝鮮人の男を演じています。「半径200メートル以内を暴力で支配する父親」と監督が述べていますが、それが優しく感じるほど、容赦ない暴君です。他人も家族も関係なく周囲の人間を踏み殺しながら、自分の欲の為だけに生きる男の生涯を描いた映画です。注目したのが、2時間半の劇中で主人公の心理描写が一切無いこと。例えば、彼が蛆の沸いた豚肉をかきこむように食べるシーンがあるのですが、観てる方はなんでそんなの食ってるのか教えてもらえないんですよ。何を考えてるかの描写が一切ないから。そういうのをたけしが死ぬ場面まで延々見せられます。救いもなく、かなり描写がキツイ(日常に溶け込むスプラッタという感じ。想像できるぶん堪える)ので、あまり気軽に観られるものではありません。とにかく全編通して死の香りが強く、数日間この映画のことをずっと考えていました。今思うと※暴露療法に近かったのかもしれません。

※恐怖の対象に触れまくることによって慣れる治療方法

 

青春の殺人者

監督 長谷川 和彦
脚本 田村 孟
上映時間 132分

こちらも暴露療法っぽいのですが、わたしの大好きな長谷川和彦監督の作品です。一言で言えば親殺しの映画なのですが、途中で水谷豊(息子)が包丁を持って、市原悦子(母親)ともみ合うシーンがあります。あれはいったい何分間くらいだったんでしょうか、かなりの長まわしで水谷豊VS市原悦子戦が繰り広げられます。本当に死んだんじゃないかと思うほど、市原悦子の演技が上手過ぎて「やばい、人が死ぬところ見ちゃった…」と、激しいトラウマを植えつけられました。「血と骨」とは違い、主人公の心理描写が、とても丁寧にされています。だからこそ、酷い生々しさです。死を見る、という意味では完全に暴露療法ですが、そこからもっと感じ取るべき映画だと思います。この作品、というか市原悦子のおかげで、わたしのタナトフォビアが爆裂したのは、今となってはいい思い出です・・

 

ダンサーインザダーク

監督 ラース・フォン・トリアー
脚本 ラース・フォン・トリアー
上映時間 140分

この勢いで紹介してしまいたいのが、ビョーク主演のこちらです。盲目のシングルマザーが、冤罪で死刑の危機に晒されるのですが、本人はなぜか上の空、無罪を主張することもなく、空想の中でミュージカル調に歌ってくるくると踊り続けます。
死が怖いと思っている人間が、自分の命を守ろうとしない人を見ると、未知の生き物のように感じます。それを通り越すと、だんだんとムカついてくるんですね。そして、一切ジタバタしないまま、鬱映画、胸くそ映画と言われる所以であるラストシーンに繋がっていきます。終始「なんなんだよ」という思いに尽きます。ただ、本心から命なんか惜しくない、という人は、どこにもいないのでしょう。けれど、大切なものと自分の命を天秤にかけた時に、命を手放す選択をすることがある、と。ヒィ…

 

マンイーター

監督 グレッグ・マクリーン
脚本 グレッグ・マクリーン
上映時間 92分

オーストラリアのB級パニック映画なので、「超でかいワニにみんな食われるぜ!」という内容です。わたしは個人的にこういう巨大生物が出てくる映画が大好きで、トレマーズ、ゴジラシリーズなんかをよく景気付けに流し見しています。中でもマンイーターは、命の扱いが現実と大差無いというか、やばい時の判断がリアルなのです。例えば、パニック映画特有の「いや、早く逃げろよ!」みたいな矛盾が少ないです。登場人物が急にアホになる展開とか「あ、死ぬな」っていうのありますよね。
ところで「大きな生き物から命を守るために逃げ回る」って、すごく自然的なことだなと思うのです。野良猫なんかも追いかけるとだいたい逃げます。それって、本能的に死を避けて身を守っているということですよね。旧人類も他の動物と同じ
ように、大きな生き物から逃げていたことでしょう。しかし、今は滅多なことがない限り、捕食されないように逃げ回るシチュエーションはありません。なのでそのドタバタを人間でやられると、現実では見ることのない「生への執着」を感じられます。よりライトな感じで「生への執着」を観ることができる、B級パニック映画いいですよ。

 

インターステラー

監督 クリストファー・ノーラン
脚本 クリストファー・ノーラン

ジェニファー・ノーラン

上映時間 169分

クリストファー・ノーラン監督のSF映画です。未来の荒廃した地球と多次元の宇宙が舞台で、人類の新天地になる星を探す壮大な冒険です。ワームホールを通り、時空間を移動する計画が物語の軸なのですが、相対性理論の説明が劇中にあまり無いので、予備知識がないと理解しづらいです。登場人物がセリフで「相対性理論は承知よね?」「ああ」これでサッサと話が進んでいきますw
最初に観た時「とりあえず凄かった…」と全然わかってない感じで、その後ちょっと勉強しました。わたしは死が怖い、憂鬱だな…と思う時、これを観ることが多いです。もちろん映画は創作ですが、あまりにも壮大なスケールなので「もしかして死って次元の移動なのかな」とか「今ある意識が全てじゃないのかも」なんて思えて、恐怖で縮んでた視野がパッと広がります。現在解明されていないという事実が、恐怖でなく逆に希望になるような内容です。映画的にも、ラストは父と娘の家族愛がキーワードになるので、本能的にホッとします。

 

バーディ

監督 アラン・パーカー
脚本 サンディ・クルーフ
ジャック・ベアー
上映時間 120分

ベトナム戦争に出兵したことで、重度のPTSDを発症し精神病院に入院した青年と、彼の心を癒そうと精一杯の努力をする親友の話です。病んでいる青年、鳥が超大好きなのです。「鶏」ではなく「鳥」。同志として鳥を愛していて、ちょっとやばいレベルです。もう、観たらわかるのですが、とにかく鳥を愛しすぎて鳥になりたがる程。そして彼の親友も同じく、ベトナム戦争を兵士として経験し、入院までいかずとも充分に心がやられている状態です。そんな2人が主軸なので、終盤まで鬱蒼とした雰囲気で、衝撃のラストまで物語は進んでいきます。(ラストが衝撃です!もう書きたくてしょうがない!)
この映画は、心を病んでいて、病んでいることを負い目に感じている人に観てもらいたいな…と思います。
「タナトフォビアは、個人の考え方の特徴のひとつ」という、わたしの思考の元になった映画です

 

生きる

監督 黒澤 明
脚本 黒澤 明
橋本 忍
小国 英雄
上映時間 143分

これも黒澤明監督の作品で、最近では教科書でも紹介されているみたいです。白黒で慣れないとちょっと目が疲れますが、自分がいつか死ぬことに気が付いた人は、観るべきだと思います。胃ガンが見つかり余命わずかの市役所の市民課長が、自分がいつか死ぬことに気付いてから、あっという間に死ぬまでの物語です。

この映画の主人公は死に直面して、はじめて過去の自分の無意味な生き方に気がつく。いや、これまで自分がまるで生きていなかったことに気がつくのである。そして残された僅かな期間を、あわてて立派に生きようとする。僕は、この人間の軽薄から生まれた悲劇をしみじみと描いてみたかったのである

黒澤明監督が語る、製作意図の抜粋です。余命を知り、奮起して何かを成し遂げて穏やかに死ぬ、こういう内容の作品は結構な数あります。しかし、この作品は問題提起をするのみで、主人公が死ぬ時の心理描写は一切なし。実際に死ななければならないときに感じる「死の恐怖」を、あえて言葉や映像にしないことで、より一層考えさせられます。映画の中で問題が解決しない表現は、実際の「死」に近いのではないかと思います。

不安な時こそギュンギュン吸収

怖い、不安、落ち込む、こういう時は外に出たり、人と関わる気になれないことも多いと思います。そんな時はぜひ、映画の世界にポーンと身を投じてみて。心が敏感になっている時こそ、新たな価値観に出会うチャンスです(^^)